バリュー投資〜CFと投資先日記〜

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JAL(日本航空)株を買った理由【02/4/8】 コロナ不況を耐える体力があると判断

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2020年4月8日、JAL(日本航空)株を購入したのでその投資判断を記録しておきます。

 

 

 

【20年4月7日現在】コロナウイルスの影響

まずは一通りコロナウイルスの時系列をまとめていきます。

 

  • 2019年11月:中国武漢でコロナウイルスの発生を確認
  • 2020年1月20日:NHC(中国・国家衛生健康委員会)の専門家がヒトーヒト感染が確認されたと発表
  • 2020年1月下旬:アウトブレイクは中国大陸に限定されていた
  • 2020年1月31日:中国での感染者数が1万人を超え、WHOが緊急事態宣言
  • 2020年2月18日:Appleが新型コロナウイルスの影響により、2020年1月時点での財務見通しは無効と発表
  • 2020年2月25日:コロナウイルスの影響でキャセルが相次ぎ、中国人向け老舗旅館が廃業
  • 2020年2月28日:WHOは危険性を「高い」から「非常に高い」に引き上げ
  • 2020年3月9日:前週末比の終値に対し、2013.76(7.79%)ドルの大幅下落
  • 2020年3月12日:WHOがパンデミック認定
  • 2020年3月14日:アメリカが国家非常事態宣言
  • 2020年3月16日:カナダがカナダ国籍非保有者の入国禁止措置
  • 2020年3月17日:NYダウが前日終値に対して2997(12.9%)ドルの大幅下落
  • 2020年4月6日:NYダウは前週末の終値に対して、1627(7.77%)ドルの大幅上昇、【中国】1月の統計以来新型コロナによる死者が初めて0になった
  • 2020年4月7日:安倍首相が緊急事態宣言(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象とし、大型連休が終わる5月6日まで)
  • 2020年4月8日:武漢の封鎖解除

 

この記事を書いている20年4月7日現在では、感染者数増加がひと段落した考があり株価が上昇している状況です。

f:id:mdaiue:20200408234440j:plainそれに対して実体経済では、街は人通りが少なく改善の見通しが立たない状況で、イタリアなど一部で自粛の緩みが見られるものの、依然自粛ムードの真っ只中です。

 

(イタリアは自粛が緩み出したという報道の後、減少傾向だった死者数は増加しましました)

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出典  https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200407-00000003-jij_afp-int

 

以上のことをまとめると、現実世界では依然厳しい状況が続いていますが、景気の先行指標と言われる株価は反発を始めてきたという状況です。

 

2番底はあるのか?

では、株式市場はもう底をうったのでしょうか?それとも2番底はあるのでしょうか?

 

現在の飲食店などの状況を見ればこれから2番底が来るような気もしますが、来ないことも十分あり得ます。

株式投資〜長期投資で成功するための完全ガイド〜第4版、いわゆるシーゲルの緑本によれば、1948年から2001年12月の間で株式市場の底は景気の底に平均して4.8ヶ月先行しているからです。期間中の10回の景気後退のうち8回は4ヶ月から6ヶ月の範囲に、先行する期間が収まっています。

 

株式投資 第4版

株式投資 第4版

 

 

 

4月6日の中国における4新型コロナによる死者が、1月の統計開始以来初の0になったとNHCが報道しました。最初に感染が確認された中国では3,4ヶ月程度で感染拡大が下火になってきたを考えると、世界全体では今から5ヶ月後くらいに事態が収束していることも十分あり得ます。

 

ただ、スペインインフルエンザやアジアインフルエンザでは、1回では収束せず、再び感染が拡がりを見せたことがあります。また、中国の感染拡大がとまったのは、共産党だから出来たと考えることもできます。

 

結論としては、これから2番底を迎えるかどうかは非常に読めない状況です。なので、2番底を期待してキャッシュポジションを積み増すのは危険だと考えます。マクロ的には、買い始めておいた方がいいでしょう。フルポジにするのも銘柄次第では、考えてもいいと思います。

 

JALの安全度と同業他社との比較

ではこれからJALの安全度(体力)と同業他社の安全度を確認していきます。倒産してしまっては元も子もないので、今回のコロナショックを耐えることはできるかという点に重点をおいて考えていきます。

今回比較対象に選んだのは、ANA(全日本空輸)と売上高1位と2位のアメリカン航空とデルタ航空です。

 

JALの貸借対照表(B/S)

ではまず自己資本比率などの貸借対照表のデータを見ていきましょう。

※日本企業の単位は百万円で2020年度第三四半期、米国企業の単位は百万ドルでFY2019のデータを使用

 

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上記の図を見て分かる通り、財務状況はJAL,ANA,デルタ航空,アメリカン航空の順に悪くなっていきます。今回の財務データは、JALとANAは20年3月期の第三四半期決算を、アメリカ航空とデルタ航空は2019年度の決算を元にしています。なので、実質コロナの影響がまだ反映されていません

 

コロナの影響が出てくる前の時点では、JALが圧倒的に財務状況が良いです。特に、現金及び預金(同等物)を月商で割った指標では、JALは売り上げの約2.5ヶ月弱のキャッシュを持っていることが分かります。実際に、JALの2019年度3月期の有価証券報告書には、売り上げの2.6ヶ月分のキャッシュを目安に確保する方針だということが書かれています。

 

財務の健全性はJALが一番ですが、JALとANAを比較した場合PBRについてもJALの方が割安です。2020年4月8日現在、JALのPBRは0.57、ANAのPBRは0.71です。したがって、これからはより割安度合いの高いと考えられるJALのみについて分析します

 

JALのB/Sを更に見てみると、流動資産として受取手形及び営業未収入金が1,551億円、有価証券が300億円あり、流動負債として営業未払金が,1753億円あります。有価証券は控えめに見積もって200億円の価値があるとすると、1,551 + 200 = 1,751で丁度営業未払金と同程度になります。丁度相殺されるので、手持ちキャッシュは現金及び預金の2,964億円のみを考えます。

 

JALの損益計算書(P/L)

次にコロナウイルス流行下での予想されるJALの月間収益を予想していきます。

 

JALの2020年3月第三四半期の累計営業費用は下記の通りです。

営業費用項目(単位億円)

変動費/固定費

第三四半期累計

燃油費

変動費

1917

運行施設利用費

変動費

1896

整備費

固定費

652

航空販売手数料

変動費

596

機材費

固定費

139

サービス費

変動費

947

人件費

固定費

2302

旅行原価

変動費

651

その他

n/a

2566

営業費用合計

 

10,107

 

変動費、固定費はこちらのサイトを参考にしました。その他は固定費扱いです。営業収益は(売上高)は1兆1300億円なので、9割が経費で変動費と固定費はそれぞれ半分くらいです。変動費については利用者が9割減となった場合を想定し0.1倍、固定費はそのままの値を費用として用います。

 

営業費用に加えて、定期的にかかる費用として考えられる支払利息についても考えていきます。(特別利益や特別損失、法人税等は考慮しません)

2020年3月期の第1四半期での支払利息は1.73億円、第2四半期では3.39億円、第3四半期では4.93億円と、おおよそ一四半期毎に1.70億円払っていることが分かります。したがって、定期的な支払い利息として、第三四半期での累計支払利息を9ヶ月で割った値を用います。

 

更に、元本部分の返済は流動負債のうち、1年以内返済予定の長期借入金(117億円)及びリース債務(11億円)を12ヶ月で割り、1カ月当たりの返済額を予測します。(短期借入金は8500万円ありますが、額が少ないので無視します。)

計算すると、一か月の当たりの元本返済額は10.7億円です。



以上をまとめると、下記の表の通りになります。(単位億円)

変動費合計

444.8

固定費合計

5659

小計

6103.8

1ヶ月あたりの費用

678.2

   

営業外費用

 

支払利息(9ヶ月分)

4.93

支払元本(1か月分)

10.7

1ヶ月あたりの費用

11.2

   

1ヶ月あたり経常費用

689.4



次に営業収益(売上高)を見ていきます。(営業外収益として、第3四半期時点で受取利息及び配当金が毎年15〜25億程度ありますが、ばらつきが大きくコロナショックでも定期的に支払われるか判断できなかったので今回は除外しました)

下記は2020年第3四半期時点での営業収益を元に、コロナショック下での収益を予想した表です。

営業収益予想(単位億円)

 

旅客収入9割減

807.5

貨物郵便収入7割減

207.3

カード事業半額

75

カード事業半減

89.9

合計

1179.7

1ヶ月あたり経常利益

131

 

旅客収入は厳しく見積もり9割減、貨物郵便収入は人の移動ほどは影響を受けないとして7割減として計算しました。

また、JALはJALパックとしてパッケージツアーを販売していますが今回は0換算、クレジットカード事業については半減として計算しました。

 

1ヶ月あたりについて、経常費用は707億円、経常利益は112億円なので、689.4 - 131 = 558.4より、毎月558.4億円の赤字となる訳です。

 

手持ちのキャッシュは2,964億円なので、2,964 ÷ 558.4 = 5.31より、約5ヶ月は手持ち資金が持つ計算となります。コロナの影響が本格化した2020年3月からキャッシュの減少が始まったとすると、7月までは新たな借金や政府からの支援なしで生き延びることができます。

今回の計算では減価償却を考慮していないので、実際のキャッシュフローはより楽になると考えられます。

 

4月6日時点で、ANAは金融機関に求めている1.3兆円の融資枠のうち一部を政府に保障するよう要請しました。ANAやJALなどが国内の航空会社が作る定期航空協会が政府に求める支援額は2兆円に達する見通しです。今の段階では政府の支援がどうなるかについての見通しをたて辛いです。

 

現在の有利子負債額は、JALが1,500億円、ANAが8,300億円です。このことからJALの借入可能額は、資産総額の比を元に考えてANAの7割くらいだとすると、8300 ×0.7 = 5810億円だと考えます。後、4,310億円借りれる計算です。この計算が正しかった場合、JALは5ヶ月ではなくあと1年は持ち堪えることができます。

 

コロナショックの第2波が来年の冬にもう一度やってくるということがなければ、耐えることができます。JALがコロナショック持ち堪えられるかは第2波がやってくるか次第だと考えます。

JALの現在価値はいくら?

最後にJALの現在価値を考えていきます。企業の価値は、将来の収益を現在価値に割り引いて考える方法と、企業の持っている資産(主に清算価値)を元に考える方法の主に2つがあります。

 

今回は前者の収益から考える方法を用います。後者の方法では、仮に企業の持っている資産価値が時価総額より大きくても、空のインフラという事業性質から、赤字を垂れ流していても事業を継続して資産価値を食い潰す可能性が非常に高いからです。

 

今回2030年でのJALの収益を予測する上で利用するのはじゃらんの「2030年 観光の未来需要予測研究」です。(URL: https://jrc.jalan.net/wp-content/uploads/2018/05/researches061.pdf)

 

 

 

2030年のJALの収益予測

まずはJALの10年後の2030年の収益予測を行います。

基本的な予測方法は、2020年3月第三四半期のデータを1年分に直し、それに倍率をかけています。(四捨五入して表示しているので若干の誤差があります)

 

                                

JAL収益予測(単位億円)

2020年度(JALによるコロナショック以前の予測値)

2030年(予測)

国際旅客収入

5130

7946

国内旅客収入

5440

4362.9

貨物郵便収入

910

910

JALパック販売、カード事業収入

2076

1665

その他

1304

1568.1

合計

14,860

16,452

 

 

国際旅客収入について、先に挙げたじゃらんのデータでは、2019年の訪日外国人3188万人に対して2030年には6045万人(約1.9倍)になることが予測されています。また、日本政府観光局(JNTO)によると、2019年の日本人出国者数(推計値)は2008万人とされています。このことにより、2019年の日本における国際線利用者は約5196万人で、そのうち61%は将来1.9倍になる可能性があるということになります。

 

よって、2030年において、訪日外国人分のの61%は1.9倍、残り39%分である日本人出国数は据え置くことで計算しました。

 

国内旅客収入はじゃらんのデータの、国内旅行延べ宿泊旅行者数は9.8%減より、80.2%に落ち込むと試算しました。

 

貨物郵便収入については余裕をって変化なしと予想しました。

 

旅行パック販売とカード事業からの収入は国内旅客収入と同様に80.2%換算です。

 

その他収入については旅客収入の増加に対して比例するとして計算しました。

 

2030年のJALの費用予想

JALの営業費用の内訳を見ると、営業収益の9割が営業費用で、そのうち固定費と変動費の割合は半々です。したがって、2030年の予想営業収益1兆6854億円を元に固定費と変動費を求めることができます。それに支払利息を加えて経常費用を出します。

 

まず固定費については、JALの安全度についての項目で試算した5659億円を通期に直した7545億円から変化しないとします。

 

変動費については、2020年の変動費(5930億円) × 2030年の予想収益 / 2020年度の収益(1兆5078億円)より、6565.3億円となります。2020年度の収益が違うのは、JALによる予測値ではなく、第3Q時点での営業収益を年換算しているからです。実測値の方が予測値より良いです。

また、実際は売上の伸び率より営業費用の伸び率は少ないですが、ここは厳し目に同等とします。


また、支払利息は通期に直して6.5億円、コロナにより3倍(JALの損益計算書の項に書いた借入可能額を元に計算)になった19.5億円だとします。


これらを合計すると、2030年のJALの予想費用は1兆4129.8億円となります。

2030年のJALの利益予想

JALの2030年の予想経常利益は、2030年の予想経常利益 - 2020年の経常利益より、2322.2億円となります。

JALの総発行済株式数は2020年4月8日現在では3億4900万株なので、将来の予想経常利益2322.2億円を株式数で割ると、一株あたりの経常利益は665.4円となります。

 

ここから一株あたりの純利益を出したいのですが、ここから経常ではないものが絡んでくるので試算し辛いです。ここは苦肉の策として、JAL及びANAの過去3年分の純利益/経常利益のうち一番割合が低い(=特別な損失が多かった年)ものを使用します。従って、2017年3月期のANAの比率70.4%が一番低かったのでこれを用います。(665.4 × 0.704 = 468.4)

 

よって、JALの2030年のEPS(1株あたり純利益)は468.4円との予測が出ました。

 

JALの上場してから現在までの平均PERは8倍、コロナショックを除いた最低PERは6倍なのでそれぞれ中位、低位予測とします。

 

中位予測の2030年のJALの株価は3747.2円

低位予測の2030年のJALの株価は2810.4円

 

これらをコロナショック前の水準である米国債10年物の金利2%で現在価値に割り引きます。(コロナ不況の現在では0.75%に低下していますが、ここは厳しめに見積もります)

 

計算式は、将来の株価 ÷ 1.02 ^ 10です。

詳しくは下記の本をご覧ください。

 

 

上記の計算式より、JALの現在価値は

PER8倍の中位予測では3074円

PER6倍の低位予測では2305.5円

となりました。

私のJALの投資判断

2020年4月8日にJAL株を平均単価1956円で購入しました。

中位予測の場合は、期待収益率4.62%

低位予測の場合は、期待収益率1.66%

です。

これに、JALの過去7年間の平均配当利回り3.04%を加える(税率20.315%を反映すると、2.42%)と、

中位予測の利回り7.04%

低位予測の利回り4.08%

が予想されます。


2020/4/24追記

投資した当初の期待収益率は、中位予測では15%、定位予測では11%(配当税引き前)でした。国際旅行収入で日本人出国者数を考慮していなかったこと、配当利回りから税金を引いていなかったことが下方修正の原因です。


10年で予想利回りが中位予測でも7%...低いですね。目標利回りは15%なので、新規に投資する時にこの期待収益率なら投資していなかったでしょう。


ただ、現在はまだ銘柄検索中なので、損切りはしません。有望な銘柄が見つかれば、躊躇せず損切りしたいと思います。

 

今回の投資リスク

 

この予測が達成される上での障壁は主に2つあると考えています。

  • JALがコロナショックを株主価値を毀損しないで持ち堪えることができるか
  • 訪日外国人6000万人超えを2030年に達成できるか

 

1つ目についてはコロナの第2波が来るかどうかが重要で、4/8の武漢の封鎖解除がどうなるかに注目していきます。

 

2つ目については、2017年の国別観光客数ランキングの1位フランスが8691万人、5位のイタリアで5825万人となっています。(引用元: https://inboundnow.jp/media/knowhow/6770/)

 

更に、下記のグラフは世界全体の海外旅行者の2030年までの予測です。(引用元: https://www.travelvoice.jp/20171005-97777 )

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このグラフを見ると、2020年から2030年にかけて30%弱海外旅行者が増加することが分かります。

日本の2019年の訪日外国人3188万人なので、これの30%増は4144万人にしかなりません。また、2020年のJTBの訪日外国人の予測(コロナショック前)で3,430万人だけです。(参考URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000551.000031978.html )

6000万人越えという目標を達成するのは国の協力なしでは不可能で、達成確率的には半々くらいではないかと考えています。

 

利回りの期待値的には5.5% ~ 7%です。

これではコロナの下げ相場の恩恵を受けているとは言い難いです。したがって、景気が上向き、PERが10倍前後に差し掛かった場合に売却する可能性が高いです。

 
2020/4/30追記
現状1年以内に航空業界の需要が回復するのは厳しいと判断し、JAL株を売却しました。
詳しくは下記をご覧ください。