積み立てNISAの仕組みを理解した上でどうして積み立てNISAを利用するかを明確にすることが大切です。
ただ節税できてお得だかという理由で積み立てNISAを始めるのは、必要かどうかを考えないで、安いからという理由で買い物をするようなものです。
以前の積み立てNISAの捉え方

僕は積み立てNISAを始めた当初、積み立てする理由を深く考えることはありませんでした。
単純に、節税できてお得⇨やらない手はない、と思って始めました。
もちろん、投資先をどうするかなどの投資自体についてははとことん調べ、考えました。
つまり、積み立てNISAを利用するのは疑う余地のない前提条件と思い込んでいて、その上でどこに投資するかなどを悩んでいたのです。
積み立てNISAのリターン

S&P500の過去のリターン
積み立てNISAを行なう場合、投資対象の国としてオススメなのが米国です。
ということで投資対象はアメリカで、S&P 500を指数とするインデックファンドに投資すると仮定します。
想定利回りは、過去の利回りからざっくりと予想します。利回りは深く考えても誰も分からないので、ある程度予想をたてればそれで十分です。
過去のどの期間で考えるかで利回りは変わってきますが、今回は下記の2016年に書かれた記事を参考にします。
記事によりますと、
過去10年投資していると利回りは6.98%
過去20年投資していると利回りは7.94%
過去30年投資していると利回りは9.89%
となっていて、期間が長いほど利回りは高くなる傾向があるようです。
しかし、一つ忘れてはいけないのは、成長のスピードが落ちてきていることです。
今までなっかたものが普及する事で資本主義経済は大きく成長してきました。冷蔵庫、洗濯機、車など今までなかったものが登場しました。
しかし、その生活の劇的な変化は1回しか起きません。例えば冷蔵庫が進化するといっても、省エネにしたりデザインをよくしたりと、なかったものが登場するといった根本的な変化は起きません。
もちろん想像もつかないような技術が生まれて生活が劇的に豊かになるということが、将来起きるかもしれません。しかし、過去30年間の利回りほども期待しすぎないほうが賢明です。
予想されるリターン
以上のことをふまえ、予想される利回りを悪いパターンと良いパターンで考えていきます。
悪いパターン
予想される年間利回り5.6%、20年後の複利計算による期待利回り(1.056 ^ 20 = 2.97より) 297%
積み立てNISA枠を全て使った場合、20年後には(40万円 × 2.97より) 118.8万円になると予想されます。
注)一度に投資するわけではないので誤差はありますが、利益が多くなる方の誤差なので無視するとします。
この年間利回り5.6%という数字ですが、過去に実際にこのようなリターンだった時代が存在します。
1969年1月から1981年12月までの期間、ベトナム戦争や石油・食料危機などの影響によりこのような利回りとなっています。
また、このときの物価上昇率は7.8%なので、今の安定している時代ではこれより低い利回りも十分あり得ます。
良いパターン
予想される年間利回り7.94%、20年後の複利計算による期待利回り(1.0794 ^ 20 = 4.609より) 460.9%
積み立てNISA枠を全て使った場合、20年後には(40万円 ×4.609より) 184万円になると予想されます。
これはITバブルとリーマンショックを経験した過去20年の利回りを用いました。2度あることは3度あるので、同じ理由の暴落はもう起きないかもしれませんが、何らかの理由で暴落は必ず起きます。
金融市場の失敗も想定に入れた利回りです。
積み立てNISA VS 自己投資

積み立てNISAに投資した場合、大雑把に今の40万円は20年後に120万円〜184万円ほどになると考えられます。
つまりこれから考えるべきなのは、大学生の今使える40万円と20年後の120〜184万円ではどちらが価値があるかということです。
結論からいうと、僕は今使える40万円の方が価値があると思います。
現在の40万円の使い道
主に下記の2つの理由で僕は今使える40万円の方をとりました。
本を購入する
今まで図書館を利用して気に入った本があれば買うようにしていましたが、結局本は購入をデフォルトにした方がいいという結論に至りました。
図書館で借りると購入までの心理的ハードルが上がります。1回読んだことがあるものをもう一度買うのはやはり抵抗があります。なので自然と本を購入する基準を高めていました。
しかし、購入を見送った本に限って読み返したい情報が書かれているということが多発しました。図書館で借りた時はあまり重要ではないと思っていた情報も、後に必要になることはよくあります。
本は1回読んだだけでは知識を吸収しきれないので、いつでも見返すことができるように手元に置くべきです。
加えて、もう一つ個人的な理由があります。
現在不動産投資の関連本100冊マラソンを行なっているので、その本を買うための資金が必要です。
1冊2000円として、40万円あれば200冊買えます。
海外旅行に行く
海外旅行は時間がかかるので、働きだしてからではなかなか行くことができません。
純粋に観光としてヨーロッパ、観光と不動産投資の勉強を兼ねてアメリカ、東南アジアに行きたいと思っているので、お金が必要です。
40万円では足りないくらいです。

20年後の120〜184万円の使い道
20年後といえば、働きだしてから脂がのってくる時期です。
独身であればお金に困ることはあまりないでしょう。
家庭を持っていれば教育費などかかりお金が必要だと思いますが、大学生のうちから教育費を用意する気にはなれません。
教育費などの生活に必要なお金の源泉は労働収入ですし、投資に使う余剰金も元をたどれば労働収入です。労働収入を上げる自己投資を優先するのは、投資の観点からも理にかなった行為です。
大学生は積み立てNISAを行うべきではない!

僕は行うべきではないとい思います。
実際に大学生のうちに積み立てNISAをやっていた僕が言うのもなんですが、大学生で積み立てNISAを選ぶという選択をする人は、その時点でセンスがあるとはいえないです。
自己投資して年収を30万円あげるだけで、10年も働けば積み立てNISAのリターンを上回ります。
さらに積み立てNISAで投資したお金は無くなりますが、身につけたスキルは生涯なくなることはありません。
資金の出所は?
積み立てNISAの枠は月最大33,333円です。
大学生にとって毎月かかる33,333円という額は決して少なくはないはずです。
では資金の出所はどこでしょうか?
バイトの場合なら、大学生という貴重な時間を切り売りしてまで積み立てNISAは行うべきではないです。今すぐ他の事に使うべきでしょう。
仕送りの場合なら、仕送り額によります。
使いきれないくらい十分な額をもらっているなら、高い経済力があるご家庭だと思うので将来の安全な資産運用の為に積み立てNISA”も”利用するならアリだと思います。
しかし、多すぎるわけではいが十分な額を貰っているなら、バイトをしなくてもいい事に感謝して、その分自己投資をするべきだと思います。
投資に慣れるため?
よく大学生のうちから積み立てNISAを行うべき理由として、投資に慣れるためというものがあります。
しかし、そもそも積み立てNISAには慣れが必要な要素はないです。
積み立てNISAで投資できるのは、スクリーニング基準を満たして金融庁に届けられたインデックス/アクティブ型の投資信託とETFです。どれも政府が長期の運用に耐えうるものを選んでいるので、積極的に売買する必要がないのです。
積み立てNISAで頭を使うのは最初だけです。最初に設定した後はリバランスしなければ、やることがありません。
慣れが必要なほど複雑ではないのです。積み立てNISAを利用しても、他の投資を行う場合に役立つほどのスキルは得られません。
また、ポートフォリオを組んだ場合リバランスが必要だという意見があるかもしれません。
しかし、一番節税効果が高い(リターンが期待できる)株式で積み立てNISA枠を使い切るべきなので、リバランスはあまり関係ありません。例えば毎年100万円、株:債券=5:5にする場合、積み立てNISAで40万円、普通の証券口座で10万円、債券を50万円買うという風にするべきです。
40万円しか投資に回せない場合、投資には少額なのでわざわざ株や債券に分散する必要がありません。株一択にするべきです。
自己投資は?
積み立てNISAで投資する前に、自分にしっかりと投資できていますでしょうか?
投資をする為には投資資金が必要です。大多数の人は、自分という労働資本を投入して投資資金を稼ぎます。
労働資本⇨投資資金⇨株などへの投資
こういう流れがあります。自己投資をしないで積み立てNISAを行うより、まずは労働資本の価値を上げましょう。
終わりに
大学生は、積み立てNISAで金融市場に投資する前に自己投資しましょう。
投資資本を作る前に労働資本の価値を上げましょう。
何事も順序というものがあります。